東京港停泊の船舶、SOx排出量が車の8倍
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東京港に停泊中の船舶から1年間に排出される硫黄酸化物(SOx)が、品川、港区など沿岸6区で自動車が排出する量の約8倍に上ることが、都環境局の推計でわかった。
臨海地域の大気観測ポイントの平均値は、SOx濃度が23区平均より20%以上高いとの結果も出ている。都はこうした船舶の“排ガス汚染”を防ぐため、近く船舶業界に対し、良質な燃料への転換を求めるなどの対策に乗り出す。
都によると、東京港には年間、約3万4000隻の船舶が入港しているが、荷役作業のために、停泊中でも発電用のディーゼルエンジンを止めず、煙突から大量のガスを発散し続けている。このため都では、大気への影響を調べるため、タンカーや貨物船、旅客船など15隻の煙突に計測器をつなぎ、ぜんそくなどの原因となるSOxや窒素酸化物(NOx)など汚染物質を測定、今春、報告書にまとめた。
それによると、入港する全船舶のエンジンから出る年間の総排出量は、SOxが1898トン(推計値)、NOxは2086トン(同)に上った。15隻のデータをサンプルにして、入港数や停泊時間を掛けて算出したもので、自動車に比べると、SOxが湾岸沿いの6区(品川、大田、中央、港、江東、江戸川)の年間総排出量の約8倍に上ることが明らかになった。NOxの排出量は車の約25%にとどまっていた。
一方、航行中の船が出すSOxは、環境省の調べで、東京湾入り口の浦賀水道から東京港までの航行で年1674トンとされており、停泊中の船舶の方が上回っていた。NOxは航行中2157トンで、停泊時とほぼ変わらないことがわかった。
都が作成したSOxの拡散予測図では、大型船が出入りする大井、青海ふ頭付近が最も濃度が高く、風向きによっては、ビルや高層住宅が立ち並ぶ臨海副都心への影響も懸念されるという。実際に、台場、晴海に常設された大気観測装置では、ここ数年、SOx、NOxともに、23区平均より20〜30%高い数値が記録されている。
SOxが船の排ガスに大量に含まれるのは、硫黄分の含有量の多いC重油を燃料にしているため。臨海部の大気の汚れはただちに健康被害をもたらすほどではないが、都では近く、日本船主協会、外国船舶協会など7団体に呼びかけて協議会を作り、硫黄分の少ないA重油への転換を求める方針だ。
ただ、A重油を使用した場合、7万5000トン級の外航コンテナ船だと、1回18時間の停泊で燃料費が約100万円アップするとの試算もあり、業界側にはコスト増を求めることになる。
都環境局では「臨海地域の大気は今のところ、国の環境基準を超えていないが、放置できないレベルにある。業界と粘り強く交渉していきたい」と話している。